アジア街道各駅停車 パキスタン編/NO.9

−−イランとの国境へ−−

ケッタの町で自転車でチベットを越えて旅している森君という青年に会った。森君はインド南部とパキスタンを通ってきたらしく、インドの方がずっとずっと良かったと言っていた。
僕たちがパキスタンの方が人が親切でインドみたいにしつこくないしずっといいと言うと驚いていた。やはり、旅人の印象などというのはこんなもんなんだろう。たまたまどういう体験をしたかによって印象は大きく変わってくるのだろう。

ケッタからイランとの国境の町タフタンまでのバスはアジアの3大悪路の一つだそうだ。丸2日掛かる。1週間に1度鉄道の便があり、こちらは朝ケッタを出て翌朝タフタンに着く。僕たちは鉄道を利用した。
指定なしの2等のみで、木のベッドがずらっと並んでいる。僕たちのボックスには僕たちの他3人いた。ボックスの入り口に布を垂らしてボックスを占有している人たちがいた。中に女性がいるのだろう。パキスタンでは女性がいる場合、このような特権がある。
列車には僕たち以外にオーストラリア人の2人が乗っていた。当時、イランを旅行出来る欧米人はスペイン人とオーストラリア人位だった。

砂漠の中を延々と走る。少し離れた所に鉄道とほぼ平行して走る道路があり、時々バスやトラックが飛び跳ねるように走っているのが見える。うわさ通りの悪路のようだ。

夜は僕が下の段に寝てチエが上の段に寝たが、夜中にチエが騒いだので目を覚ますと誰かがチエの足をさわったらしい。回りを見たがもう誰もいなかった。
こんなふうに女が布で仕切もせずに寝ているのは珍しいのだろう。僕たちも布で仕切をして占有すれば良かった。


NEXT


アジア街道各駅停車