アジア街道各駅停車 イラン編/NO.7

−−イランのお座敷列車−−

テヘランからは列車でトルコとの国境近くの町タブリズまで行った。夕方出発して、翌朝タブリズに着く。
ちょうどイランの正月と重なったようで、里帰りする若い兵士で車内はいっぱいだった。

6人掛けのコンパートメントで、向かい合った座席を倒すと、座席がきっちりくっついてコンパートメント全体が1つの部屋になる。まるでお座敷列車のようだ。その部屋で雑魚寝になる。

僕たちのコンパートメントはぎっしりで少し寝にくいかなっと思っていたら、隣のコンパートメントの若い夫婦が僕たちを呼んでくれた。若い夫婦と僕たちの4人だけだった。
暖房が効きすぎて少し暑いのを除けば、快適な旅になった。

朝、目を覚ますと雪国だった。 畑を耕している農夫の姿が妙になつかしい。そう、それは中国西域ウィグルの風景にどこか似ていた。そうか、そろそろトルコが近いのか。ずいぶん遠回りしたが、またトルコ文化圏に戻っていくのか。
そんな感慨に浸っていると、若い夫婦が降り支度を始めた。彼らは途中のマラゲーとか何とかいう駅で降りていった。10時過ぎに少し遅れてタブリズに着いた。

タブリズからは国境の町マクまではバスだ。バスターミナルで若い男が親切そうにバス乗り場や時刻を教えてくれた。その後もしつこくつき回っていろいろと話し掛けてくる。悪気はないのだろうが、どうも煩わしい。
今までどこを回って来たのかと聞くのでネパールに2ヶ月と、インド、パキスタンに1ヶ月ずついたと答えると、イランにはどれだけいたのかと尋ねる。正直に2週間だと答えると、彼の愛国心を傷つけたのか、何故イランだけ2週間なのかとこれまたしつこい。
しつこく付いてくるのを何とか振り切って、バスターミナルを出た。
どうもイランにはこういう輩が多い。愛国的な人間が多いのか、それよりも大ペルシャ帝国の末裔としての自尊心がそうさせるのか。?相手には悪気はないのかもしれないが、こちらがプツンときてしまう。

バスの出発まで時間があったので、昼食を食べた後、近くの公園のベンチでトランプをしてしると人が集まってきた。何か言っているので始めは仲間に入れてほしいのかと思い、
「いいよ」などと笑顔で答えていたが、どうも様子が違う。
どうやらトランプをするなどというのは不謹慎だと言っているようだ。そうこうしているうちに、すごい人だかりになってしまった。そして、トランプをすることの是非をめぐって大変な議論になった。
トランプをするより面白そうなのでしばらく議論を観戦した。
議論は尽きないようだったが、僕たちはバスの時刻になったので先に失礼させてもらった。その後、決着はついたのだろうか?

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