アジア街道各駅停車 イラン編/NO.1

−−イラン入国−−

夜明け前目を覚ますと、列車は砂漠の中で止まっていた。車内を見渡すと、もう誰もいない。どうやらタフタンに着いたようだ。
外に出ると小型トラックが数台止まっていて、少し離れたところに土の家が見える。トラックの荷台に乗ってイミグレーションの前まで連れていってもらった。
国境はまだ閉まっていたので、チャイ屋でチャイを飲みながら闇両替屋を相手に、パキスタンルピーをイランのリアルに替えた。
イランのリアルは当時、正規の銀行で替えると1ドル80リアルだが闇で替えると1ドル800リアルになった。何と10倍だ。
ただし、イラン国内で闇両替するのはもちろん、国外から2万リアル以上のリアルを持ち込むのも違法なのだ。
かといって、本当に銀行で両替するバカはいない。隠してリアルを持ち込んだり、入国する際に外貨の申告を少な目にして隠して持ち込んだドルを国内で両替したりと、みんな工夫する。

しばらくすると、森君がやって来た。
僕たちより数日早くケッタを出たのだが途中で車に乗せてもらって2日前に着いたらしい。かなりきつかったようだ。

パキスタン側のイミグレーションは簡単に通過して、イラン側のイミグレーションで待っていると日本人の学生が2人(庄司君と浅井君)がやってきた。さらにカスタムチェックで待っているとペシャワールの宿でいっしょだった南さんがやってきた。台帳を見ると1ヶ月で数人の日本人しか通っていないのに、今日だけで何と6人も揃ったことになる。

カスタムでの荷物チェックも無事に終わろうとしていた時、一枚のカレンダーが検査官の目に止まった。
カード大の大きさで裏にルノワールの絵が書いてあったのだが、それが迂闊なことにセミヌードだったのだ。これは厳格なイスラムの国イランでは許されないことなのだ。
検査官の顔が急に険しくなって荷物の再検査となった。制限を越えて隠し持っているリアルが見つかると面倒なことになる。
検査官がリュックを調べている間にリアルの入っているナップザックをチエに手渡すと、リュックの底までひっくり返して調べた検査官だが、ナップザックを調べることすらしなかった。
カレンダーは没収され、パスポートにペルシャ語で何やら書き込まれた。一体何を書かれたのか未だに分からない。

無事カスタムチェックを通過しバスでザヘダンの町に向かった。


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